~阿蘇草原の維持・再生~
阿蘇の雄大な景観は、古来より人々の手により維持されてきた貴重な宝であるとともに、今でも活動を続ける活火山を中央に据えるカルデラの中に約5万人が生活するという世界にも類を見ない貴重な地域となっています。特に、広大な草原で草を食むあか牛の放牧風景は、阿蘇を代表する文化的景観です。しかしながら、近年の農畜産業を取り巻く状況は厳しく、有畜農家の減少や後継者不足などにより草原の維持管理が危機的状況に直面しています。
このような貴重な景観や人々の営み・生活文化を維持・継続するため、平成24年度に策定の「千年の草原を活用した阿蘇地域活性化総合戦略」に基づき、次の事業に取り組みます。
本事業は、ソーシャルメディア(ブログ、facebook、twitter等)による情報発信に加え、メディア(テレビ、雑誌等)による情報発信、より身近に草原を体験することができるイベント等を実施します。
また、草原の文化的景観を守り継ぐ地元地域へも、草原の持つ特性や価値について積極的に広報します。
草原は阿蘇のシンボルであり文化的景観となっています。その草原を保全するのに近年、野焼きボランティアの方々が重要な担い手となっています。その意志を尊重し、不自由なく作業に参加、阿蘇滞在に更なる共感を抱いていただける側面支援を提供すべく施策の研究、立ち上げに取り組みます。そうしたなかでツーリストの滞在形態や幅を広げてゆけるツーリズムの発見へも努めます。
また、千年の草原を活用した阿蘇地域活性化総合戦略における恒久輪地整備における複合的な利用や整備手法についても検討を進めます。
あか牛の放牧畜産が草原の保全へつながるという見地から、あか牛のいる風景、あか牛を育てる健康な野草、そうして生産される良質な畜肉が生活者へ注目されるよう取り組みます。とりわけ健康志向の時代にマッチするあか牛の肉と阿蘇のすぐれた草原景観を表裏一体とする「食」と「農」のツーリズム戦略を押し進めるなど、農業の領域における可能性を広く探り、新たな草原ビジネスシーズ発掘、調査検討を進めます。
ジオパークは地質遺産を見どころとする自然公園の保全と活用を目的として世界各国で推進されている活動です。
阿蘇ジオパーク推進協議会では、平成24年度の日本ジオパーク委員会による審査結果である「保留」から脱し「推薦」を獲得するため、別途定めるアクションプランに基づき、指摘事項の改善を図ります。このことにより阿蘇ジオパーク振興計画の趣意に沿いつつ、ジオサイト案内板の整備やジオツアーガイドの養成、小中学校及び高等学校へのジオ教育普及など、阿蘇火山博物館や南阿蘇ビジターセンター、環境省、熊本県など様々な団体と連携を強めながら事業を推進しています。
阿蘇地域の魅力や評価を高めるため、地域の水源や森林環境、草原景観の維持など、景観・環境の保全が重要です。また、阿蘇地域は、世界に誇れる独自の歴史・文化を有しており、それらの継承が求められています。
平成25年度も、景観・環境、歴史・文化を保全、継承していく方策を検討するとともに、市町村や地域住民の活動を支援していきます。また、世界文化遺産登録に向けて、熊本県と市町村により設立された阿蘇世界文化遺産登録推進協議会と連携し、阿蘇環境デザイン策定事業に取り組みます。