理事長挨拶

 阿蘇地域振興デザインセンターは、平成2年5月、熊本県と阿蘇郡旧12ケ町村の出捐(しゅつえん)により財団法人として設立されました。その後、事業の拡大とさらなる組織力の強靭化のため平成10年から平成14年に基本財産を増額、平成25年4月に公益法人へ移行しました。

 さて私は、構成市町村の一つ小国町の首長として、当財団の理事長に令和5年7月に就任、私が住む小国町では未来へ持続可能なまちづくりとしてSDGsに取り組んでいます。当財団では「魅力あふれる阿蘇づくり」を目指して、様々な公益事業を行っています。行政は「タテ割り」と言われる中、当財団は市町村の枠を越えて広域的な視野で公益事業に取り組めることが大きな特徴です。

 公益事業の一つ人材育成事業「あそ未来創造塾」では、当財団、熊本大学、金融機関が連携し取り組み、地域の活性化に関して意欲ある人材を発見、育成するものです。今年で3期目になりますが、第1期では地場資源を活用した「地熱珈琲」、第2期では「あそヨガプロジェクト」などビジネスプランを事業に結びつけ、地域で輝き始めています。

 新型コロナウイルス感染症が大流行したことにより、人と仕事に関する多様な形が見られようになりました。それは都市が仕事を中心に暮らしやすいという概念に捉われないことでもあります。地方でずーっと住み続けられるために、阿蘇地域で暮らしながら、仕事、教育、文化、自然環境など総合的な生活価値観の創出を目指していきます。

 阿蘇を取り巻く環境は、平成28年の「熊本地震」からの創造的な復興で、主要道路などインフラの整備、南阿蘇鉄道の全線復旧、阿蘇火口エリア見学地の拡大、小国町が生誕地である北里柴三郎博士が来年発行される新千円札の肖像画に採用されるなど、阿蘇地域振興に追い風が吹いてきました。この機会に多方面にわたり、各種事業に取り組んで行きます。

 一方、台湾の世界的な半導体メーカーTSMCが熊本に進出。人の交流やつながり、SNS活用による台湾からの観光客誘致のアプローチに取り組んでいます。

 当財団は、平成30年度末に観光庁により観光地域づくりの舵取り役として観光地域づくり法人(地域連携DMO)に登録されました。これからも観光を軸に地域づくりのビジョンを描き、阿蘇地域及び阿蘇くじゅう観光圏の発展と振興を目指していきます。

令和5年7月
公益財団法人阿蘇地域振興デザインセンター

理事長 渡邉 誠次

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